司法書士という仕事を理解するための基礎知識をまとめたサイト
弁護士・司法書士・行政書士など似たような法律系の士業があります。その中でも司法書士をピックアップしてみました。このWebサイトでは【司法書士という仕事を理解するための基礎知識】について迫りますので参考にしてください。司法書士の働き方がご理解いただけるでしょう。
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はじめに
弁護士・司法書士・行政書士など似たような法律系の士業がありますが、その中でも司法書士をピックアップしてみました。このWebサイトでは【司法書士という仕事を理解するための基礎知識】について迫ります。司法書士を目指している人は参考にしてください。
司法書士の仕事
裁判所などへ提出する書類の作成・会社を設立したり土地や住宅などの不動産を売り買いする場合に必要な登記ができる国家資格を持つ専門家が司法書士です。では、司法書士はいつ、どのような仕事をするのかをシーン別(1)土地や建物に関すること(2)法人に関すること(3)トラブルや裁判に関すること(4)財産の管理に関することに分けてご紹介しておきましょう。
(1)土地や建物に関すること
不動産(土地・建物)に関する色んな権利の登記に必要とされる書類作成および手続きをする仕事があります。
具体的なシーンには次のようなものがあります。
- お子さまに土地を譲りたい
- 親から土地を相続したい
- 新しくマイホームを建てた
- マンションを購入した
- 戸建て住宅を購入した
(2)法人に関すること
株式会社や有限会社など会社を設立するときには必要な書類の提出や登記をしなければなりません。また、一度登記した内容を変更する場合には手続きをしなければなりません。その手続きをしてくれるのが司法書士です。
具体的なシーンには次のようなものがあります。
- 新しく会社を設立したい場合
- 本店の場所・会社の目的・会社の商号などを変更したい場合
- 取締役など会社の役員の変更するケース
- 資本金を増やしたり、減らしたりする場合
- 有限会社で会社を立ち上げたけれど、株式会社に変更したいケース
- 一度、設立した会社を解散する場合
(3)トラブルや裁判に関すること
検察庁に提出する告訴状や裁判所に提出する訴状や申立書などの書類を作成します。また供託の手続きも司法書士の仕事です。供託とは、耳慣れませんよね。お金を支払う必要があるのに、「相手がお金を受け取らなかったり」「誰に支払うのはハッキリしない」状況になった場合、国の機関に代わりに預かってもらうことです。供託手続きをすればお金を支払った証明になりますので覚えておきましょう。
認定司法書士の場合は、請求額140万円以下の簡易裁判所で取り扱われる訴訟に関して依頼人を代理することができます。裁判の手続きをするのです。
具体的なシーンは次のようなものです。
- 訪問販売の契約を解除したいとき……いわゆるクーリングオフをする場合
- ご主人や奥さまと離婚をしたい場合
- 会社が残業代を支払ってくれないケース
- 賃貸住宅の家主のトラブルになってしまい家賃の受取を拒否されているケース
- 借りているお金を返せなくなった場合や逆で貸したお金を返して貰えない場合
(4)財産の管理に関すること
具体的なシーンは次のようなものです。
- 財産管理を信用できる第三者に任せたい場合
- 遺産相続で揉めることをさけたい場合
- 一人暮らしをしていて老後が不安に感じるケース
- 親が認知症になってしまい自分でお金の管理ができなくなってしまったケース
大きく分けて2種類ある司法書士の働き方
司法書士のワークスタイルですが、大きくわけて(1)雇われるタイプの司法書士と(2)独立系の司法書士があります。それぞれの特徴をご紹介しておきましょう。
(1)雇われるタイプの司法書士……他の司法書士事務所や法律事務所で働くタイプ
司法書士が仕事をする場所として最初に思い浮かぶのが司法書士事務所でしょう。規模はそれぞれで大手事務所の場合は多くの有資格者を抱えます。少数の従業員が働く個人事務所もあります。規模も違うし、取り扱う案件もさまざまな司法書士事務所があります。
雇われるタイプで働きたい場合は、インターネットや雑誌などの求人情報で自分の働き方に合いそうな司法書士事務所や法律事務所を選び応募します。事務所へ勤務する司法書士は国家資格を持っていても基本的には給料制になっています。普通の会社員と同じような境遇になります。
(2)独立系の司法書士……自分で司法書士事務所を開業するタイプ
しっかり勉強して司法書士の国家資格を取得したのですから、いつかは自分の事務所を持って独立したい夢を持っています。ですが競争が激しい世界ですから、安泰だとは言えないのが現実です。特に東京や大阪や名古屋・福岡などの都市部ではたくさんの司法書士事務所が乱立している状態です。顧客の獲得競争となっているのです。
司法書士の国家資格をとっても、いきなり独立するケースは珍しいですね。一度、どこかの司法書士事務所や法律事務所で、いろんな経験を積んでから、自分の将来をどうするのか見極めるほうがいいでしょう。
司法書士と認定司法書士の違い
司法書士には「認定司法書士」がいます。この司法書士は特別な研修を受講して法務大臣から認定を受けた司法書士です。認定司法書士になるとどういったことができるのでしょうか。
これまで弁護士しか出来なかった裁判所での民事事件の代理業務ができるようになます。金額的な制限があります。簡易裁判所の案件で訴訟の目的になる物の価額が140万円を超えない請求事件に限ります。金額が大きくなると認定司法書士でも取り扱うことができません。
近頃では、司法書士の基幹業務である「登記業務」よりも「簡易訴訟代理関係業務」に力をいれる司法書士も増えています。もともと、弁護士が担当する業務の一部を司法書士が行えるようになったのは理由があります。それは増加し続けるいろいろな訴訟や事件に対応するマンパワーを確保することが目的でした。
コマーシャルでもお馴染みになった過払い金の請求や債務処理を取り扱える司法書士が増え手来ています。では、認定司法書士が取り扱える「簡裁訴訟代理等関係業務」の中身をご紹介しておきましょう。
- 【認定司法書士が扱うことの出来る「簡裁訴訟代理等関係業務」】
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- (1)訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件の民事訴訟手続きをすること
- (2)訴え提起前の和解である「即決和解の手続きをすること
- (3)支払督促手続きや証拠保全手続きをすること
- (4)民事保全手続き・民事調停手続きや少額訴訟債権執行手続きをすること
- (5)裁判外の和解の各手続きについて代理する業務
- (6)仲裁手続きや筆界特定手続きをすること
司法書士の仕事ですが、従来は不動産や会社の登記業務とか裁判所への提出書類の作成がメインでした。ですが、取り扱う範囲も拡大しています。今では消費者金融の過払い金問題や高齢者社会になってきた社会的な変化ともに拡大しています。現代社会は複雑に利害が絡みあっています。本来専門にしていた書類作成や登記だけでなく法律的な知識を持った専門家としての活躍が期待している存在になっています。
司法書士という仕事の魅力やメリット
誰からも認められる国家資格であること
司法書士の国家資格を取得するための試験は特に制限がありません。誰でも受験することができます。大学で法律を専攻していないといけない条件などはないのです。会社員でも大学生でも戦場主婦でもチャンスはゼロではありません。
チャレンジャーに広く門戸を開いているのが司法書士試験です。しかし、合格するとなると簡単にはできません。ごく一部の人だけ。私達の生活に密着している法律家ですから、専門知識が要求されます。それだけではなくて、国民の権利を守るための高い倫理観が要求されます。だからこそ司法書士でしかできない独占業務があるわけです。
顧問している会社に行けば「先生」と呼ばれますし、法務局でも裁判所でも司法書士ならば対応も異なります。日本では一目置かれる存在の国家資格です。難しい司法試験に合格する価値は、人生を変えるほどの重みを持っています。誰もができる仕事ではありませんから、大きな自信にもなるでしょう。
司法書士事務所を独立開業できる可能性がある魅力
司法書士の国家資格を取得すれば、自分の意思があれば、いつでも好きなタイミングで独立開業ができます。国家試験に合格したあとは、日本司法書士会連合会や各地の司法書士会が主催する研修制度を受講するようになります。特段に実務経験がなくても独立して開業することはできるようになっています。
しかし、これは手続き上の話です……実際にすぐ独立するなんてケースはほとんどありません。最初は司法書士事務所に就職するのが一般的なロードマップです。その間に自分のスキルを磨きます。司法書士事務所や法律事務所に就職して独立するまでの期間の目安は3年程度です。
しかし、司法書士の世界も他と同様に多様な働き方があり変化してきています。司法書士の国家資格をとったあとの選択肢も随分と多様化しており選択肢が多くなっています。大企業や中小企業の法務部門に配属されれば、司法書士としての知識が発揮できます。不動産会社・金融関係の会社・保険会社に就職してさらなる専門知識を積み重ねることも不可能ではありません。
司法書士の国家資格は期限がありませんから、一度取得しておけば一生涯有効になります。定年もありませんから、企業に就職して資格を取得して、退職したあとに開業する人生もありでしょう。
就職や転職にも有利な司法書士の国家資格
就職や転職する場合には、それなりのスキルや知識を持っていることは大きな武器になります。難関の国家資格である司法書士に合格している実績があれば、努力家である証明でもあります。独立をする選択肢もありますが、まずは法律事務所や司法書士事務所への就職があります。
そのときに、司法書士の国家資格があれば有利になるのは間違いありません。「司法書士の勉強をしています」というのと「司法書士の国家資格を持っています」というのは大きな違いです。採用担当者はどちらを採用するのかは言うまでもないことでしょう。
法律事務所や司法書士事務所だけでなく一般企業の新卒採用担当者にもアピールできます。履歴書には「司法書士資格」を記入することができます。司法書士資格を持っている学生からのエントリーがあればインパクトは強いでしょう。採用しない理由は見つかりませんよね。
しかし、就職や転職は司法書士の資格があるからと安心はできません。本人の情熱がどの程度のものかとか、企業との相性はありますし、それが重要なポイントです。司法書士資格があるからと安泰では過信しているのはどうかと思います。
ですが、司法書士の国家資格があれば、相当深い法律知識があることが証明されているのです。特に法律に強い人材を求めている会社や行政部門・地方自治体には圧倒的なアドバンテージがあるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?司法書士という仕事を理解するための基礎知識をまとめてみました。ここでご紹介した知識は基本の「き」です。これ以外に、司法書士に関して興味深い情報は随時別ページでご紹介しますので、あわせてチェックしてみてください。
司法書士の国家資格は魅力がいっぱいあります。この資格を取得するには合格率3パーセントをなんとかクリアしなければなりません。ですが、一度合格すれば資格の価値の重みは計り知れません。その人物の人生を揺るがすほどのパワーがあります。こういったことは司法書士を目指す人達の強いモチベーションになります。
司法書士資格は司法書士を目指す人だけではなく、現在の生き方に満足していない人や自分の人生を変えてみたい人にお勧めできる国家資格でとっても価値があります。学歴・年齢・性別など関係ありません。「やってみたい!」と思うならば、一歩踏み出してみてはどうでしょうか。